今年の夏休みは、コロナのせいでずっと行かれなかった海外旅行に出かけようか、と考えている人も多いかもしれない。その行き先候補として真っ先に上がるのが、入国にあたってコロナ関連の規制がほぼないイギリス。
5月から6月にかけて、イギリスおよびスコットランドのウイスキー蒸溜所巡り中心に約3週間、約4000kmをドライブしてきた。
クルマ好きの筆者が、日本がイギリスに見習うべきところなどを中心に、イギリスのクルマ事情をレポートする。
文/柳川洋
写真/柳川洋
■高速道路の追越車線は追越し時のみ使用する、という意識が強い
イギリスでは高速道路はM1、主要幹線はA9、地方道はB842などと、日本と同様に道路に路線番号が振られている。数字が1桁など小さければ小さいほど、基幹路線であるところも日本と一緒だ。
筆者はエディンバラでクルマを借り出し、まずM90を使ってスコットランドを北上。首都圏でたとえると横浜横須賀道路や小田原厚木道路のような、片側2車線(デュアルキャリアージと呼ばれる)のさほど新しくないモーターウェイだ。
日本とまず違うのは、高速道路での走行車線からの追越し時に、右ウインカーを出しっぱなしにしたまま追越車線を必要なだけ走行し、追越し終了後は左ウインカーを出して走行車線に戻るクルマが多い。
右ウインカーを出しっぱなしにするというのは、あくまでも追越車線の走行は一時的なものだという意識が強いせいだろう。ウインカーを出さずに追越車線を走っているとやや違和感があるぐらいだ。
だから、バックミラーを見ないクルマが右側車線をふさいでノロノロ走って知らん顔、という日本の高速道路でよくある光景はほぼ見られなかった。
■田舎では飛ばしても街中では減速、サイクリストはリスペクトされる
高速道路の制限速度標識には70と書かれているが、これはマイル表記。時速112キロだ。実際にはこれより流れが速いことも多い。だが、オービスのような自動速度取締機があったり、瞬間速度ではなくA点とB点の通過時間で平均速度を計測する速度取締用のカメラがあったりするので、めちゃくちゃスピードを出すクルマにはあまりお目にかかれなかった。
スコットランドの田舎道では、日本でいえば伊豆スカイラインのような道を、老若男女問わず結構なスピードで飛ばす。クルマの流れは制限速度の時速60マイル、約96キロもしくはそれ以上のスピードだ。
だが、どんな田舎道でも、前方にサイクリストが見えると、手前で大きくスピードを落とす。そしてウインカーを出し、センターラインをまたいで大きく自転車と間隔をあけてから追越していく。
対向車が来ていると、自転車の後ろをクルマがついて走り、安全に追越しができるタイミングを辛抱強く待つ。日本と違ってサイクリストに対するリスペクトが非常に高く、幅寄せなどをしないのが印象的だった。
また、幹線道路を走って街に入ると、制限速度が時速60マイルから30マイルとなる。BMWのM3などのハイパフォーマンスカーが田舎道を時速100キロ以上のスピードで飛ばしていても、街が近づいて制限速度の標識が見えれば急減速する。
一般的には日本よりもイギリスの方が交通マナーがいいという印象を受けた。だが、かつてのイギリスでは、信号が黄色になればほとんどのクルマがちゃんと止まり、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいればクルマが一時停止し、何かあってもクラクションを鳴らすクルマはほとんどいない、という印象が強かったが、ロンドン市街を歩いていたら黄色で加速して交差点を抜けていくクルマ、歩行者に譲らないクルマ、クラクションを鳴らすクルマが以前より多くなった気がする。
友人のロンドンっ子に聞くと、やはりその通りという。彼は、ウーバーの運転手など、ここ10年ほどの間に多くの人が多くの国から移り住んできたせいもあるのかも、と言っていた。
交通マナーが日本よりいいからといって、当然交通事故が全くないわけではなく、エディンバラ空港から市内に向かう幹線道路に入ったすぐのところで、市内に向かう2階建てバスからわりと大きな事故を目撃した。
手前の黒いクルマはウーバータクシーに見える。前のクルマは側面衝突した後、ガードレールに乗り上げたようだ。事故に遭われた方がご無事であることをお祈りしながら通過した。
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