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Friday, October 29, 2021

各党の公約を「可視化」でわかった…決定的に足りない「教育・子ども政策」の大問題 - 現代ビジネス

現在の教育システムは「格差生成装置にすぎない」

教育政策の研究者であり、内閣府・子供の貧困対策に関する有識者会議委員である筆者のところには、今回の衆議院選挙の各政党の公約について、報道機関・ジャーナリストからの問い合わせが相次いでいる。

どの政党が「教育格差」をなくせるのか?

端的に言おう。「教育格差」を是正する視点からは、どの政党の選挙公約もまったく不十分だ、というのが結論である。

次の図1は、2020年4月の文部科学省・大学入試のあり方に関する検討会議*1で、筆者が文部科学省と萩生田光一文部科学大臣(当時)に示した、「我が国の教育システムがいかに不公正かという現状をまとめたもの」である。

簡単に言えば、生まれる前から格差が開き始めるが、わが国では他の主要先進国とは異なり、どの教育段階でも格差是正策がまったく不十分である。それゆえに現在の日本の教育システムは「高所得者の子供たち,都市部在住,男性に有利な格差生成装置にすぎない」のである。

松岡亮二氏が『教育格差(ちくま新書)』で指摘したように、「同じ扱い」だけでは格差を縮小できない。それどころかコロナ禍でむしろ拡大の兆しすらある。そんな現実に我々は向き合わなければならない。

また成人期の学び直しの機会も不足しており、とくに、高校中退者や専修学校・高等教育を経験していない成人に対して、無償または安価でアクセスがしやすい教育機会保障がなければ、教育格差は大人になってからも固定化されたままとなる。

だからこそ、教育格差を改善するためには、データ・エビデンスの蓄積を前提に、子どもが生まれる前から、各学校段階にまでまたがる政策体系と政府による財源保障が必要なのである。

そして、子ども・若者の意欲や、学習の質、進路保障に至るまで政府投資の効果を大きくしていくために、保育園・学校や子ども・若者支援の最前線で頑張るスタッフ・専門職、研究者と中央政府・地方政府が、様々なリサーチやエビデンスを蓄積し、共に考えながら、政策改善を支えるエビデンスインフォームドな政策改善サイクル(Evidence Informed Policy and Practice, EIPPモデル)が重要であることも前述の検討会議で指摘してきた。

教育政策の体系性とともに、すべての子ども・若者のウェルビーイングを保障するために、普遍主義を前提としつつ、とくに困難を抱えるグループ(低所得層、地方在住の子ども・若者、女性、障害を持った学習者、エスニックマイノリティ等)に手厚く「公正」な資源配分を行うこと、が「教育格差」是正の唯一最善のソリューションである。

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