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Saturday, August 28, 2021

乗ってわかったアウディ「RS Q3 Sportback」の絶妙なバランス感| - @DIME

 アウディのSUVの中で、サーキット走行も可能なパフォーマンスが与えられたモデルとしてラインナップに加わった「RS Q3」。ちなみに、アウディは数字の前につくアルファベットで、モデルの立ち位置を知ることができるということをご存じの方もいるかもしれないが、まずは少し紹介させていただきたい。

 アウディは「A1」から「A8」まで“A”から始まるモデル名が基本となり、ハッチバックやセダン、クーペがラインナップされている。そして“Q”のつくモデルがSUVとなっている。

 アウディの4WDは“Quattro(クワトロ)”と呼ばれており、SUVモデルの名称の頭につく“Q”はそこから生まれたそうだが、他ブランドに漏れずFF車(前輪駆動の2WD)も存在する。さらに「Aシリーズ」にも「Qシリーズ」にも“S(Sport)”から始まるスポーティーなチューニングやデザインを施されたモデルがある。

 そして、それらとは別格のパフォーマンスモデルとしてほとんどの「Aシリーズ」にRS(Racing Sportの意味)が存在する。SUV系の「Qシリーズ」は、今のところフラッグシップSUVの「Q8」と、今回の「RS Q3」の2モデルのみ。ちなみに「Q3」には、SUVらしいフォルムのスタンダードモデルとクーペのようなフォルムのスポーツバックがあり、そのどちらでもRSモデルを選ぶことができる。

鳥肌が立つようなドライビング体験をもたらす「RS Q3」

そんな中で「RS Q3」は、比較的コンパクトなSUVでありながら、ドライバーが望めば鳥肌が立つようなドライビング体験を愉しむことができる。

今回、紹介する「RS Q3」は6年ぶりのフルモデルチェンジをはたした「Q3」がベースとなる。「Q3」は内外装のデザインやデジタル系、先進運転支援技術などは、新世代のアウディのそれらが採用されている。

また、先代に対してホイールベースが延長されたことで、より広い居住空間が生まれている点も新型の特徴のひとつ。2モデルを比べると「スポーツバック」のほうが全高がやや低く、後席のヘッドクリアランスもやや少ないが、ラゲージの容量はボディーのタイプで変わらないのがうれしい。収納力もライバルの、例えばBMW「X1」や「X2」、ボルボ「XC40」と比べても優位性があり、このセグメントの中では最大容量を誇る。

「RS Q3」のエクステリアだが、ブラックのハニカムメッシュグリルを備えたオクタゴンシン(八角形)グルフレームグリルや大型エアインレット、RSシリーズ専用の前後バンパーやリヤディフューザー、左右2本出しの楕円形テールパイプを採用。

 特に、フロントビューはボディカラーに対し、ブラックで統一された性能パーツとのコントラストがRSモデルらしさをわかりやすく主張している。また、前後ともにブリスタフェンダーを採用し20インチ(オプションでは21インチも選べる)タイヤを装着する力強い走りを見た目でも想像しやすい。

インテリアにもオクタゴンのシングルフレームグリルをモチーフにしたデザインをインパネに採用しているほか、近年のアウディ車ではお馴染みのメーターもRSモデル専用のヴァーチャルコックピットプラスを採用。グラフィックの色やデジタルメーターの動きにRSらしい演出が加えられている。

また、試乗車にはRSデザインパッケージ(51万円)も装備されていた。スポーツシート(ハニカム模様をレッドステッチで表現)や専用のレッドステッチが施されたアルカンターラステアリングやシフトノブ、レッドで縁取られたシートベルトなど専用の9アイテムが装備される。

最高出力400PS、最大トルク480Nmの圧倒的なパフォーマンス

「RS Q3」には、クラストップレベルの最高出力400PS、最大トルク480Nmを発揮するオールアルミ製2.5ℓ5気筒エンジンを搭載し、7速Sトロニックトランスミッションが組み合わされる。サスペンションはベースの「Q3」に対し、車高が10mm低くなるRS専用スポーツサスペンションを装備。

 足回りに、精度の高い減衰力制御を求めるならRSダンピングコントロールサスペンション(電子制御)がオプションで設定されている。今回の試乗車にはこれも搭載されていたほか、セラミックブレーキ(フロントのみ)やRSスポーツエキゾーストシステムなども走行性能の強化パーツとして装備されていた。さらに雪道もサーキットでも4輪の性能を最適に引き出す4WDのパイオニアでもある、アウディのクワトロ技術もこのRSモデルには欠かせない。

 乗り心地はベース車に比べ多少硬い印象を抱くものの足もとが引き締まったことで、剛性感が上がり芯の強さが増した印象。ただし、快適さを大きく損ねるものではなかった。

 それは、エンジン性能も同様で街中を流れにのって走るようなシーンの速度コントロールもしやすく、普段使いでアクセル操作に気を遣うこともない。しかし、一度アクセルペダルを強く、もしくは深く踏み込めば威勢のいい独特のエキゾーストサウンドとともに「RS Q3」は路面を強く速く蹴り、ダッシュ性能の高さを見せつけてくれる。6気筒3ℓや8気筒4ℓや5ℓなどの分厚いトルク感とも違う、ドライブフィールに軽さを伴いながら、ほどほどにと言っても体躯的には持て余しそうなほど十分な太いトルクがこの「Q3クラス」にはピッタリだった。

 コーナリング性能にもアウディならでは制御技術が活かされている。標準装備される走行モード切替「アウディ・ドライブセレクト」のAUTOモードでも、SUVであることを忘れる逞しい走行フィールだった。ちなみにノーマルの「Q3」でもコーナリングは大きな姿勢変化を感じることはないけれど、「RS Q3」の場合は、路面を捉える足もとの手応えも厚く、なんならコーナリング中にまだまだアクセルが踏み込めそうと思わせてくれる頼もしさが増す。

 クワトロ(4WD)の4輪が路面に接地することで得られる手応え(安定感)もとりわけハイパフォーマンスモデルである「RS Q3」にとっては、圧倒的なアドバンテージとなる。ただしSUVである「RS Q3」の場合、セダンやアヴァント(ワゴン)、ハッチバックのような車高のモデルと比べると、姿勢変化のクイックさやシャープさはややまろやか傾向となる。

 ちなみにAUTOモードであれば、走行状況に適したダンピングコントロールや他の諸々の制御をオートで行ってくれるので無難だが、DYNAMICモードを選べば、ステアリングギヤ比やダンパーの硬さ、エンジンやトランスミッション、クワトロ(4WD)の制御もコーナリングを優先した後輪駆動重視のスポーツモードに切り替わる。

 ちなみに乗り心地も本格派スポーツモデル系になるので、多人数でドライブを楽しむ場合は、あまりお薦めはしない。とはいえ、「RS Q3」は日本の道路にもマッチするサイズのSUV。この実用性と走行パフォーマンスのハイバランスを手頃なサイズで手に入れられるという買い得度は、サイズ以上と言えるのではないだろうか。

◆ 関連情報
https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/q3/rsq3.html

文/飯田裕子(モータージャーナリスト)

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