2020年8月某日、「旅とクルマ」をテーマとした、マツダ主催の価値体感型取材会が開催された。もちろんこの時期であるから、これでもか、というくらい感染予防対策がとられるなかで行われた。
限られたコースだけを走る試乗会とは違って、スタンプラリーのように途中立ち寄る場所と、ゴールは決められているが、その途中でどこへ寄り道するのかは自由。一泊二日のロングドライブの相棒として提供されたのが、CX-30のSKYACTIV-Xを搭載した「X 2WD」と、2Lガソリン仕様「20S 4WD」の2台だ。
「マツダはこの価値体感によって、どんなアウトプットがほしいのだろうか」と疑心暗鬼になりながらも、小旅行で気分はウキウキの筆者。こうなると早起きも苦ではない。早朝7時にカメラマン、編集担当、そして筆者のおじさん3人が集まり、マスク着用、こまめな換気を意識しつつ、いよいよ旅が始まった。
文/吉川賢一
写真/奥隅圭之
【画像ギャラリー】長く乗りことでそのよさがわかる! スカイアクティブXも設定したCX-30の詳細をチェック
■目的は「充実した時間が過ごせたか? 」
CX-30がデビューしたのは2019年の10月。マツダ3をベースとしたクロスオーバーSUVであり、マツダのSUVラインナップのなかでは、CX-3とCX-5の間に位置する。
デビューから3カ月後の2020年1月には「SKYACTIV-X(スカイアクティブX)」搭載グレードが追加された。「スカイアクティブXとは、世界初の燃焼技術SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を用いて、ガソリンエンジンの軽快さと滑らかさ、ディーゼルエンジンの力強さを兼ね備え……」という説明を書くのが、試乗記事の王道だが、今回のマツダの価値体感会の趣旨は、ちょっと違う。
CX-30で出かけた先での新たな発見・体験を通じて、マツダから問われているのは、「日々の暮らしに心地よい刺激が得られたか? そして、充実した時間が過ごせたか?」についてであり、乗り心地やハンドリング、ロードノイズ、エンジンのトルク、といった単なるクルマの試乗評価レビューとは、今回はちょっと違うのだ。
■往復600kmのロングドライブで、CX-30は何を感じさせてくれたのか?
初日はSKYACTIV-Xを搭載した「X 2WD」を試乗。朝7時台の下り方面の首都高は快調。巡航速度で走り続ける時、CX-30がもつ路面を舐めるようなドライブフィールは実に気持ちがいい。ロードノイズも小さく、クルマの遮音性能にも優れるので、走行中であっても、車内での会話に支障はない。
こうした動性能の質感の高さは、CX-30のみならず、昨今のマツダ車に共通する美点だ。静けさと、落ち着いた雰囲気のインテリアデザインをみていると、なんとも優雅な気持ちになる。
東名下りの大和トンネル付近では自然渋滞を起こしていた。CX-30には当然クルーズコントロールが備わるため、渋滞中でも楽ちんだ。完全停止しても、アクセルペダルをチョンと踏み足せば、再びエンジン始動して走り始める。ステアリングアシストもあるので、レーンキープもしっかりやってくれる。
渋滞を抜けた先は、約200kmのロングツーリング。クルーズコントロールで前走車についていきながら、たまには自分のペースで走らせる。スカイアクティブXのエンジンフィーリングもよく、アクセルペダルを踏み込んだ時の加速サウンドも軽快で、運転していて心地がいい。
ステアリングのギア比がスローなので、レーンチェンジもまったりとこなせ、同乗者を不安にさせることもなく、運転者としても安心だ。このCX-30の高速道路でのドライブフィーリングは、国産車の中でも随一だと思う。
目的地に近い、長野県の山間部にあるインターチェンジを降りる。目的地は、マツダから指定された、高原にあるランチ場所だ。徐々に狭まっていく道幅と、アップダウンが増す道では、エンジン回転が上がり、ステアリングの操舵量も大きくなっていく。ギア比がスローなCX-30は、ハンドル操作量が普通のクルマよりも大きめとなるため、二の腕のいい運動になった。
ランチ後は、高原のなかをひたすらドライブ。山間部の気温は関東圏よりも5度は低く、換気のために窓を開ければ、涼しい空気を感じられた。標高が高まるにつれて上り下りがきつくなり、エンジンは苦しそうに悲鳴をあげていた。
舗装路であっても、繰り返し補修されたなどで路面が荒れていると、CX-30がはく大径タイヤは跳ねやすい。場合によっては、速度が出ていると、タイヤグリップを失ってカーブの外側に膨らみそうな場面もある。そんなシーンでは、CX-30でも4WDのほうが安心して走りやすいな、とは感じたが、それもゆっくり走れば、何も問題はない。同乗者を不安にさせない車速コントロールの腕を試されているのか、と頭の中で考えながら運転していた。
山を越えたころには、ドライブ疲れもピーク。それまでは続いていた会話も、到着する頃には皆無口になっていた。ピカピカだったCX-30もさすがに疲れたように、ボディはだいぶ汚れていた。
翌日は2.0Lガソリン仕様「20S 4WD」に乗り換え、長野県松本市の観光地巡りからスタート。国宝の松本城は、現存する五重六階の天守のなかで、日本最古の国宝の城だという。また、途中に立ち寄った松本民芸家具の工房でみた、手作り家具からは美しい造形美を感じた。
松本民芸家具では、パーツを加工する家具職人はもちろんだが、家具の素材となる「木」を、加工に適した状態になるまで半年以上をかけて乾燥・と吸湿といった下処理をして育てる職人がいるという。
その仕事ぶりを拝見し、筆者も、表面的な技術ばかりに目を奪われるのではなく、そのクルマの背景に込められた、「思想」や「フィロソフィ」を見抜けるようにならねば、と思った。
■マツダが提供したい価値とは「心地よい刺激を感じられる歓び」
クルマという工業製品は、安全性や快適性などを改善するため、時代に則して絶えず「変わり続けること」が必要だ。しかし、クルマという嗜好品に求められるのは、それだけではないと考える。
自らの存在感を主張することもなく、助けが欲しい時以外には存在感を消している。しかし、すぐ横にいてくれるので困ったときには助けてくれる、そんな「心地よさ」を、マツダは提供したかったのではないだろうか。
「究極の相棒」というには、現時点のCX-30では少々物足りない気もするが、それよりも、「そのクルマを選択する意味」を伝えていくことのほうが、大切なのではないか、と今回、この試乗会で感じることができた。
「このクルマのハンドリングや乗り心地といった性能は凄いでしょ!」とわかりやすく伝えるのも大切だが、「このクルマがあれば、心地よい刺激を感じることができ、暮らしが豊かになる」という体感してもらうことも大切だ。
そういった意味で、今回の試乗会はとても有意義であったし、マツダのやりたいこと、伝えたいことに、非常に感銘した、というのが感想だ。筆者としては、今後のマツダの戦略には、注目せざるを得ない。
【画像ギャラリー】長く乗りことでそのよさがわかる! スカイアクティブXも設定したCX-30の詳細をチェック
"わかった" - Google ニュース
August 13, 2020 at 09:00AM
https://ift.tt/3gVnUsL
国産「最美」SUVにふさわしい走りか? マツダCX-30長距離試乗でわかった真価 - ベストカーWeb
"わかった" - Google ニュース
https://ift.tt/2UITuSs
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
No comments:
Post a Comment