
自閉症児は自然の中で神経系が休まる
ララウェイは生徒たちの自閉症を治療しようとしているわけではない。自閉症は一種の神経疾患で、米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、アメリカでは未成年者の54人に1人が、程度の差こそあれ自閉症者だ。ララウェイは重度の自閉症スペクトラム症者を多く受け持っており、彼らの言語能力や社会スキルの向上や、卒業後の就労に向けた準備のためには、菜園に漂う心休まる雰囲気が効果的なのではないかと考えている。 実際その効果はあるようだ。生徒たちは教室にいるときよりも菜園で作業をしているときのほうが、活発にコミュニケーションを取るのだという。 「自閉症児はもっと屋外で活動するべきです」。そう話すのは、コロラド州立大学の動物学者で自身も自閉症者であるテンプル・グランディン博士だ。「自閉症児は地下に閉じ込められ、ひたすらビデオゲームをしています」 研究によれば、自閉症者はとくにスクリーン依存になる傾向が強い可能性がある。コロナ禍で学校が閉鎖されたため、状況は悪化する一方だとグランディンは言う。 しかしここ最近、自閉症児を対象にしたサマーキャンプや屋外施設が再開しつつあり、状況が好転するのではないかと、自閉症専門家たちは期待している。 「自然の中にいると、神経系はひと休みでき、回復が促されるのです」と話すのは、カナダのオンタリオ州トロント近郊で子ども向けセラピーセンター「カウンティング・バタフライズ」を運営するミシェル・ブランズだ。「自閉症児にとって神経系を休ませることはとりわけ重要です。彼らの感覚系はすぐに過負荷状態になってしまいますから」 自然は自閉症児にとって、心が落ち着くばかりか、胸が躍る場でもあるとブランズは言う。自閉症児をビデオゲームへとのめり込ませる集中力は、1匹の虫が立てる微々たる音や、草の葉の繊細な感触など、自然の微細な事柄に目を向ける際にも発揮される。もちろん、自閉スペクトラム症は幅広く、子ども一人ひとりのニーズも強みもさまざまだ。 ブランズが担当したある男児は、水に関するあらゆることに関心を示し、手で水に触れては大喜びし、水が流れたり渦を巻いたりする様子を見ては楽しんだ。ブランズは男児の両親に、自宅に水差しを置いたり、噴水や小さな池を設置したりするようアドバイスした。 「私たちは水を橋渡し役にしました。その男児にとって、水はこの世界で心を平安に保つための道具なのです」とブランズは振り返った。男児は高校に進学すると、水を巡る問題を話し合うクラブを立ち上げたという。他人とうまくかかわれずに苦労していた子どもにとっては大きな一歩だ。
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